2016年3月アーカイブ

車とドローイング


以前書いた、アールスマンのグラフを使った作品(表やグラフという硬そうな素材をユーモラスに使う、と書いた)のひとつ、"車とドローイング"を日本語に書き出してみる。

"車とドローイング


 中庭でツバメが鳴くのを聞いた。今年ほど大きな声でないているのははじめて聞く。以前よりもたくさんいるようだ。私が引っ越しをしたからそう思うのだろうか?でも私は去年も既にここに住んでいたのだ。ツバメの暮らしがうまくいっているということだろうか?それともただ私が注意を払っていなかっただけのことだろうか。それは愚かだ、注意を払わないとあとで後悔する。ものごとは、突如として消え去ることだってあるのだ。

 だから私は周りによく注意を払わなければいけない。皆、そうしなければならないのだ。

 頭のないニワトリのようにあっちからこっちへとただ走り回るのではなく、あなたのまわりをよく見回すのだ。いますぐ、ここで。


 あなたがまだ持っているおもちゃの動物をベッドに置き、写真を撮る。その写真を大きなノートに貼り、おもちゃの動物の名前も書いておく。毎日、何時間テレビを見たか数えておき、それもノートに書いておく。あなたの気に入っている服を床に並べ、その写真を撮る。それもノートに貼る。

 あなたが本をよむたびに、その本の題名とあらすじを書き出す。何行か書いただけでは役に立たないが、10年も続ければあなたの頭の中身は全て分かる。

 あなたがあなたの自転車と一緒に写っている写真を撮る。何年かして次の自転車にのるときはその写真も撮っておく。それは美しい連作になる。

 数え、計り、写真を撮っておくことはあなたを飽きさせることはないだろう。


 私は一日中車が走っている通りに住んでいる。何台走っているのか正確には知らないが、とにかくたくさんだ。それを嫌だとは思わない。通りにたくさん車が走っているのは循環に良い。ちょうど、じゅうぶん走ることがあなたの体の循環であるように。汚ならしい車は交通量の多い通りでは見かけない。だらしのない車には居心地が悪いのだ。汚らしい車は暗い裏通りを好んで走る。そういうのは私は好きではない。

 私が朝に目を開けて、家の表側からたくさんの車のやわらかなざわめきが聞こえてくる、同じく、裏側からはツバメの鳴き声が聞こえてくる。鳴きながら滑空するスポーツ・カイトは、空中で、巣を作るための屋根瓦の隙間を探しているのだ。裏側には自然、表側には文化。私はその中間に挟まれている。私はツバメがとても好きだ、彼らは空中でとても敏捷で、走っている車の下を飛ぶことだってできる。そして私は車も好きだ。

 車は文化ではないという人々もいる。そういう輩は文化は美術館にあるものの中にあると考える。どうして文化が通りの上にあってはいけないのだ?車は、細かなチームワーク、優雅な形と高い技術を持つものではないのか?それを描くことだってできる。


 それには私はまず数えなくてはならない。それが私が今日やったことだ。私は自分の前に1枚の紙を置いて11時から1230分の間、家のベランダに座った。

 その紙の上に私はマス目を書いた。各マス目の上にはそれぞれ色の名前を書いておく。ライト・イエロー、ディープ・イエロー、ダーク・レッド、ライト・グレー、ニュートラル・グレー、など。ある色のついた車が通れば私はその色の名前の書かれたマス目に横線を引いていくのだ。まあなんという仕事だったことか、目の前を横切る車の色を数えていくのはひどくだるい仕事だった。全部で1420台。紫色の車は10台。金色を帯びたブロンズ色の車は12台で黄色は14台。などなど。

一番多かった車の色は黒で、279台。その数字でドローイングを作る。ここに2つできた。


aarsman_03.jpg
ドローイング1
7月22日に私の家のベランダの前を通りすぎた車の色の円グラフ
ドローイング2
7月22日に私の家のベランダの前を通りすぎた車の色の棒グラフ "


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